【書評】脳ストレスが消える生き方


以下、Amazonに投稿したレビューです。

5つ星のうち 4.0 脳科学を超えて2012/4/15
投稿者 安井 真守 (群馬県高崎市) - レビューをすべて見る

本書は、著者が専門とする脳生理学の学問分野を超えて、トータルな意味での「幸福な人生」を探求する為の挑戦に満ち溢れている。
先ず、本書で画期的なのは、脳内の「心」の在る場所をハッキリと二箇所に断定して、それを、我々一般の読者にも分かり易く図解で説明している点である。

「ストレスは第二の心で感じている」(76ページ)

そして、第二章までの前半部分で基本的な脳科学(神経学、生理学)を説明した後に、続く第三章からは「脳ストレスを消す生活習慣」(109ページ)と題して、習慣的、継続的にセロトニンを出す為の、具体的なトレーニング方法や生活習慣を紹介している。

「リズム運動をする」(120ページ)
「太陽の光を浴びる」(131ページ)
「グルーミングをする」(132ページ)

確かに、他の方のレビューにもあるように、江戸時代の人々の生活や現代社会の諸事情を、凡てセロトニンとの関係で説明するのは随分と飛躍があるし、また、脳の生得的な器質として、一般的な人々とは各種ホルモンの分泌のバランスが(良い意味でも悪い意味でも)違う特異な人もいるので、本当に本書一冊ですべての人類が幸福になれるのかと問われれば、答えはもちろん「否」である。

しかし、鬱病を患った経験がある私としては、著者が本書で言わんとしている事は本当に良く理解できるし、何より、資本主義がもたらした20世紀までの価値観である「追いつき、追い越せ」という呪縛から人々を解放する為にも、著者は「ワザと」セロトニンという一物質を拡大して喧伝しているのだと汲み取る事ができる。

また、本書では、セロトニン以外の「オキシトシン」という物質にも言及しており、私自身は初めて知る内容だったので、大いに勉強になった。

「母は強しの格言は脳科学的にも正しい」(172ページ)

ただし、本書に一つだけ苦言を呈するならば、学術的には間違いではない(と思われる)事柄であっても、「文章表現」としては誤解を招きやすい文言が散見され、その意味を咀嚼するのに、少し戸惑う個所が幾つかある。
例えば、本書中で「セロトニン活性」という文言が何度も登場するが、セロトニン自体はホルモンなので活性も何も無い筈である。
これは、ガソリンを給油する事によってエンジンが駆動する様を「ガソリン活性」と呼んでいるようなものである。
文章表現として正確に表記するなら、「セロトニンに由る(神経細胞の)活性化」だと思われる。
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