【連載】うつ病予防マニュアル 第五回

 簡単に説明すると、朝、太陽の光を視る(つまり、光が網膜を通って脳内に入る)ことにより、自立神経の中枢を担う「視床下部」という部分から「朝ですよ」という信号が、先述のメラトニンを分泌する器官である「松果体」に送られるわけである。松果体は、その信号を受け取ってから約十五時間後にメラトニンを分泌し始め、その結果、人は「眠くなる」というメカニズムだ。

 陽光下での運動がどれほど合理的か、これでお分かり頂けたと思う。

 朝、太陽の光を浴びながらウォーキングや体操をする事によって、脳へ酸素とブドウ糖を送り込んで思考を活性化させると同時に、夜はグッスリ眠れるという理想的な方法論なのだ。
 もちろん、薬やサプリメントの摂取と違って「自然体そのもの」であるから、当然、リスクもコストもゼロだ。


 しかし、この方法が適用できない場合もある。

 先に②の項で述べたように、工場の交代勤務や夜勤専門のコンビニ店員のように、「日没がおはよう」で「日の出がおやすみ」の合図になってしまっている場合だ。
 私自身、工場の夜勤専門だった時期があるが、昼間に寝ていると団地の階段を人が昇り降りする音が響くわ、セールスの電話が掛かってくるわでなかなか寝付けなかったり、途中で目が覚めてしまう事は度々あった。

 本来であれば、①の項で力説したように「そんな仕事は辞める」というのが最善の選択なのだが、この御時世だ、辞めたはいいがなかなか次の仕事が見つからずに、その不安が逆にウツを招いてしまう…という本末転倒な事にもなりかねない。
 なので、暫定的な対策として「部屋を完全に真っ暗にして、出来得る限り音も遮断する」という方法をお勧めする。

①カーテンは二重にする。もしも、カーテンレールがシングル(一本)の場合は、できる限り厚手のカーテンを使用する。もちろん、アイマスクを使用しても良い。
②昔ながらの吊下げ型の蛍光灯を使用している場合は、眠る際に小さな「豆電球」も消す。
③室内の時計は秒針の「カチコチ」という音が鳴らない物を選ぶ。
④携帯電話を手の届く範囲に置かない。
⑤耳栓を使用するか、もしくはタオル、クッション等を両耳を塞ぐように配置してから眠る。

 以上の五点を守ってもらいたい。

 一つだけ、四番目の「携帯電話を手の届く範囲に置かない」という事について補足しておくと、これは最近になって問題視されるようになった「電磁波の影響云々」という事ではない。
 私はその筋の専門家ではないので、本当に携帯電話が受発信する電波が人体に悪影響を与えるのかどうかを判断する事はできない。

 それでも、私が「眠る際に携帯電話を近くに置くな」という理由は、もっと単純な心理状態に由来している。
 それは、携帯電話を枕元に置いて眠るという事は即ち、「私は眠っている最中でも電話の着信に応対しますよ」と、世間に対して表明しているようなものなのだ。

【連載記事】うつ病予防マニュアル 第五回
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