「抽象度」に対する誤解

先刻、Twitterのタイムラインを眺めていたら、こんな投稿を目にした。

まさに、「抽象度」と「抽象表現」を混同して捉えている典型例なので、ここでもう一度、その二者の違いを明確に定義しておきたい。

文脈から察するに、例えば株や為替といった投資で「実際に稼げている人」と「稼げていない人」を比べての言及だとは思うが、「抽象度の高い考察や言及=具体的な数字を出さない」という事ではない。

この文脈であれば、
「具体的な数字を出す」→具体的な表記や言及
「具体的な数字を出さない」→抽象的、あるいは曖昧な表現や言及
という事になる。

それに対して「抽象度」とは、解かりやすくコンピューター(正確にはOS)のファイルの分類構造に例えて言うと、
「任意の情報が所属している階層(ディレクトリ)の更に上の階層
の事であり、先の投資の例で言うなら、誰かが任意の「A社の株価」を調べた場合と「日経平均株価」を調べた場合とでは、当然ながら後者の方が抽象度が高くなるし、更に「経済指標」(政策金利、GDP、消費者動向、雇用統計、貿易収支などを含む)全体を調べた場合は、更に抽象度が上がるわけだ。


このように抽象度とは、例えば誰かが何かを調べたり、あるいはそれに基づいて仮定や結論を表明する際に、その情報が所属する階層を表すものであり、場合によっては
「抽象度が高く、なおかつ具体的な数値も挙げている」
「抽象度が低く、なおかつ具体的な事例も挙げていない」
という事もありえる。

例を挙げるなら、
「今日のA社の株価は終値988円でした」
・抽象度は低いが、具体的な数値を表記している。

「今日の日経平均株価は前年同月比+5%でした」
・前者より抽象度が高く、なおかつ具体的な数値も表記している。

「今日のA社の株価は、予想していたより低かった」
・抽象度が低く、なおかつ抽象的にしか表明していない。

「今回の消費者物価指数の発表を見て、小麦粉製品は買い控える事にした」
・前者より抽象度は高いが、やはり抽象的にしか表明していない。

お解り頂けただろうか?
このブログの読者には、「抽象度⇔具体度」という概念と「抽象的⇔具体的」という表記の精度を、くれぐれも混同しないでもらいたい。
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