チェスや将棋は本当にIQアップに有効か?

iPadのチェス盤

将棋界の「超天才」「スーパースター」である羽生 善治氏を引き合いに出すまでもなく、将棋や囲碁、チェスといった対戦型のボードゲームは、いかにも頭を使うゲームであり、当然のごとくIQアップに効果があると思いがちですが…

このテーマは実に地味に議論され続けてきた事であり、実験の方法や前提条件等によって、その結果にかなりの食い違いがありました。

「Chess and GO no-brainers?」
(チェスや囲碁は考える必要がない?)
https://www.nature.com/news/1998/021209/full/news021209-10.html

~抄訳~
ボードゲームのチェスや囲碁での実験では、実戦的ではない(アマチュアの)プレイヤーの脳画像を撮ってみると、ゲーム上の戦略について迷っている時、知能を司る領域は不活発に見える。

アマチュアのチェスと囲碁のプレイヤーは、「G」と呼ばれる一般的な知性を収容すると考えられている領域を使用していないと、アメリカと中国の研究者が発見した。
プロ選手、あるいはお金を賭ける場合は、彼らの心をより大きく引き延ばす可能性がある。

テストでは、プレイヤーは非競争的なシナリオでの最高の動きを熟考した 。
「私達がスマートに考えるもののほとんどは、経験に基づいている」と、スタンフォード大学の心理学の専門家、ジョン・ガブリエリ氏は述べている。

「えっ!?」と二の句に詰まるような実験結果ですよね。

これはつまり、アマチュアのプレイヤー同士がチェスや囲碁、将棋を指している限りは、「うーん、うーん」と唸りながら、いかにも論理思考を司る脳領域をフル回転させているように見えますが、実際には過去の記憶や経験則から、最善と思われる一手を選び出そうとしているに過ぎない…という事を意味しています。

しかし、米ジョン・ホプキンス大学の発表によれば、「幼少期から始めるのであれば」という前提条件付きならば、チェスを始めとしたボードゲームはIQアップに確かに効果があるとの事です。

「Educational Value of Chess」
(チェスの教育的価値)
http://education.jhu.edu/PD/newhorizons/strategies/topics/thinking-skills/chess/

~抄訳~
チェスの習得と学業成績の間には強い相関関係があります。 2000年に行われた調査で、チェスの指導を受けた学生の全ての学業成績の中で、数学、空間分析、そして非言語的な推論能力で高い得点を得ることが明らかになりました。

研究は、チェスが小学校、並びに中・高等学校の子供たちにプラスの影響を与える事を示しているが、AF4C(アメリカのチェス普及財団)は第2、第3の証言として、私たちの実験が「それは確かに理想的な年齢である」と示唆しています。

八、九歳の心と思考スキルは急速に発達しており、チェスは、このように視覚化、分析、および批判的思考として、より高いレベルの思考スキルを教えています。

これを逆に捉えるなら、ある程度の年齢に達してからチェスや将棋を始めても、「定跡には無い奇襲」や、いわゆるポーカーフェイスのような「ハッタリ」などの演出で勝とうとするようになり、肝心の論理的思考能力はあまり発達しない…と解釈する事ができそうです。

とは言え、これらのデータはあくまでも人間同士が対戦した場合でしょうから、相手がコンピューターの場合は、また話が違ってくるとは思いますが…

完全なるチェス 天才ボビー・フィッシャーの生涯

出版社:文春文庫
発売日:2015/08
媒体 :文庫本、単行本、Kindle


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