以下、アマゾンに投稿したレビューです。
5つ星のうち 5.0 現役僧侶が科学の側に回答した画期的な一冊, 2010/11/7
しかし、本書の著者は積極的に「脳」という言葉を用いて、釈迦が興した元々の仏教(原始仏教)が現代の脳科学的にも矛盾しないものである事を、35ページからの第二章「身体と心の操り方」で熱心に、且つ科学的な整合性を以って説いている。 「話す」36ページ 「聞く」68ページ 「見る」90ページ 「書く/読む」108ページ等。 例えば、44ページの 「もし、ムカつく!と思ったら、すぐにこの『ムカつく!』をカギカッコでくくってしまうのです。」 「いま『ムカつく!』と思っているだけであって、これは真実ではない。自分の心が作りだしているだけのものである、と認識することです。」 という手法は、自分の感情を第三者の視点で捉え直すという、認知心理学的に見ても正しい方法論である。 どれもこれも反論しようのないほど洗練された知見ばかりだが、私が感心したのは、インターネットの匿名掲示板等にも言及した上で、しっかりと現代人の日常生活に焦点を合わせて語っている点で、決して原則論、理想論のゴリ押しにはなっていない点である。 また、巻末の現役の脳科学者、池谷 祐二氏との対談も画期的なもので、それまで互いの顔色を窺い合ってきた科学界と宗教界が、これからは手を取り合って広く人々の幸福の為に協力し合えるのだという事を確認している。 ビジネスや子供の教育など、広い意味で「人と接する際の心構え」を再考させてくれる良書である。 |
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