【書評】人生を変える黄金睡眠メソッド


以下、Amazonに投稿したレビューです。

2014年7月18日
著者の肩書きは「ラジオキャスター」と「催眠術師」である。
決して精神科医でも脳科学者でもない為に最初は半信半疑で読み進めるのだが、いざ前置きが終わって具体的なエクササイズが開帳されると、疑念は良い意味で裏切られる事になる。

本書の最大の特徴は、著者が過去20年間に渡って人々から相談を受けた実例に基づき、「心と身体」の両面から一つ一つ不眠の原因を取り除いていくという方法論が貫かれている点にある。

「眠りを改善できない人がいるのは、ひとつの原因に的を絞ってそれを直そうとするからだ」
「だが実際には、考えられる理由はいくつもあり、眠りを妨げる要因はたいてい複数ある」(52ページ)

例えば、誰もが一度は聞いたことがあると思うが「寝る前に暖めたミルクを飲むと、よく眠れる」という民間療法(?)がある。
確かに、脳内ではカルシウム(イオン)とナトリウム(イオン)の働きによって神経伝達物質の「流れ」を作っているので、それらが不足すると眠りに限らず様々な脳機能が不調をきたす。

しかし、先述したように不眠の原因は単なるカルシウム不足だけではない。

私自身、職場の上司のパワハラによって鬱病を患った経験があるし、もちろん不眠症を併発していたが、そのような極度のストレス下に置かれている時に、どれだけ大量にカルシウムを摂取しようと焼け石に水なのだ。

緻密にして多様なる眠りのメソッドは、

「いつもの起床時間より三〇分早く起きる」(68ページ)に始まり、
「眠りを妨げるおもな化学物質」(89ページ)
「シンプルな肉体的心地良さが眠りを強化する」(108ページ)
「内なる声を和らげる」(140ページ)
「思考場療法」(184ページ)

などなど、実に多岐に渡る。

これだけ多種多様な方法論を提示しながらも、医師の監督を必要とするような、肉体に過度の負荷を強いたりする方法は決して用いない事も本書の特筆すべき点である。

また、付録の睡眠導入CDのクオリティーも圧巻である。

このCDには日本語バージョンのトラック1と、著者自身の声で録音された英語バージョンのトラック2が収録されているが、断然お勧めするのはトラック2の方である。

「でも、英語では何を言っているのか分からないから、英語圏の人じゃないと効果はないのでは?」と思われるかもしれないが、ハッキリ言って収録されている言葉の意味内容は一切気にする必要はない。

なぜならば著者自身の「声色」、つまり発音の音程やリズムが「催眠術師の話し方」そのものであり、低くゆったりとした独特の語り口を聴いていると、最後まで聴き終えるのが困難なほど急激に眠気を催してくるのである。
ひょっとしたら、このCDを一回聴いただけで不眠症が治る人もいるかもしれない。

眠れないからと言って薬やアルコールに頼る前に、ぜひとも本書を手に取ってほしい。

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